第15回 若手優秀講演賞 (2018年度)

受賞者 受賞講演について
今泉 允聡

(いまいずみ まさあき)

(情報・システム研究機構 統計数理研究所)

[講演題目]
  
関数推定の理論に基づく深層学習の原理解析

[講演概要]
  
深層学習が他手法より良い性能を発揮する原理を解析した。既存理論では、データが滑らかな関数から生成されている場合、多くの既存手法が理論上の最適精度を達成するため、深層学習の相対的優位は説明できない。本研究は、データが非滑らかな関数から生成される場合、深層学習がある種の理論的な最適性を満たし、ある既存手法のクラスが最適性を達成しないことを示すことで、深層学習が他手法に優越する状況を明らかにした。

津田 宏史

(つだ ひろふみ)

(京都大学 情報学研究科)

[講演題目]
  
統計量によるPeak-to-Average Power Ratioの上界

[講演概要]
  
Peak-to-Average Power Ratioは三角波の和の振幅の最大値のことであり、この分布を求めることは数学的にも工学的にも行われてきた。
三角波の各要素の独立性の仮定のもとで近似解が求められているが、そうでない場合は未発達である。
本発表では、独立性の仮定をしないときの分布の上界の導出を行い、三角波の各要素のモーメントと関係があるという結果を得た。
この結果は従来研究の結果を包含している。

廣田 悠輔

(ひろた ゆうすけ)

(東京電機大学未来科学部情報メディア学科)

[講演題目]
  
実対称疎行列に対する効率的三重対角化アルゴリズム

[講演概要]
  
実対称行列の三重対角化は固有値問題などに応用される重要な行列計算の一つである.
従来の三重対角化アルゴリズムは,三重対角化の過程で行列の疎性を失うため,
入力が疎行列であってもその疎性を活かした計算量の削減が困難である.
本講演では,行列の疎性の大部分を維持したまま三重対角化を行う計算量の少ないアルゴリズムを提案した.
また,複数の実対称疎行列に提案アルゴリズムを適用した結果を示し,その有効性を確認した.

横井 優

(よこい ゆう)

(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系)

[講演題目]
  
展開型マッチングゲームにおける部分ゲーム完全均衡

[講演概要]
  
求人者と求職者の間のマッチング市場のような,
各人が戦略的に行動する中でマッチングが形成される状況は,展開型ゲームとして捉えられる.
本研究では,逐次的にジョブオファーを受ける求職者が,
競合相手の戦略を考慮しながら諾否を決定していく状況を定式化し,
各求職者が均衡戦略に従う際に形成されるマッチングの計算複雑度について特徴付けを与えた.
また,形成されるマッチングが安定性を満たすオファー順の設計法を与えた.