研究部会連合発表会優秀講演賞(2017年)

日本応用数理学会では、研究部会連合発表会の講演登壇者から優れた発表をした方を、「研究部会連合発表会優秀講演賞」受賞者として表彰しています。
2017年は、以下の方が受賞されました(敬称略、50音順)。
表彰式は、総会において行われます。

受賞者 受賞講演について
今倉 暁(いまくら あきら)

(筑波大学 システム情報系)

[講演題目]
  
非線形非負行列因子分解に基づくディープニューラルネットワーク計算法

[講演概要]
  
近年、画像認識や音声解析などの分野においてディープニューラルネットワーク(DNN)が成果を上げており活発に研究が進められている。本講演ではDNNの標準的な重み最適化手法であるバックプロパゲーション(BP)法と異なるアプローチの計算法として、非線形非負行列因子分解に基づくDNN計算法を提案した。また手書き文字認識を用いた数値実験において、提案法は古典的なBP法と同程度の認識誤差および高い並列性を示す結果が得られた。

奥富秀俊(おくとみ ひでとし)

(東芝情報システム株式会社)

[講演題目]
  
Lyapunov指数とカオス尺度の関連性に関する解析的考察

[講演概要]
  
カオスの定量化手段として利用されるリアプノフ指数と、情報理論に基づくエントロピー型カオス尺度の数理的関係性を示した。ならびに、両者の差分に関する解析的な考察と、特に両者が等しい場合のメカニズムについて述べた。リアプノフ指数はデータのみから求めることは困難であるが、カオス尺度はデータから直接計算可能である。よって幅広い分野での利用が期待できることを述べた。

工藤桃成(くどう ももなり)

(九州大学大学院数理学府)

[講演題目]
  
Superspecial curves of genus 4

[講演概要]
  
代数幾何学とその周辺分野において、特殊な代数曲線の数え上げは重要な研究課題である。本講演では、ある超特別曲線の数え上げを計算問題に帰着させ、代数学・数論その応用全般における様々な計算技法を用いることで解決した。具体的には、有限体上の種数 4 の超特別曲線を数え上げる代数的アルゴリズムを与え、さらに標数7以下において本手法を計算機代数システム上で実装し、超特別曲線の存在・非存在を完全に決定した。