第9回業績賞(2019年度)

分類A. 理論を重点とするもの: 1件
[受賞者]
室田一雄 (東京都立大学)

[題目]
「離散凸解析の研究」

[業績概要]
室田一雄氏は,最適化を中心として,数値計算法,マトロイド理論のシステム解析への応用,群論的分岐理論の構造工学への応用,計算幾何学,空間経済学など数理工学の様々な分野に渡って,優れた研究成果を挙げると共に,数々の著書を通じて,数理工学の教育・普及に多大な貢献をしてきた.

最適化は人間社会のあらゆる活動に関係する重要な数理手法である.離散変数の最適化問題は一般にNP困難性という計算量的な難しさをもつが,その一方で,マトロイド性や劣モジュラ性をもつ離散最適化問題は効率的に解けることが知られている.室田氏は,離散と連続の最適化を統一的にみる方法論として,離散凸解析の理論(双対性,分離性,計算効率性などを含む理論体系)を創始し,その応用を推進した.室田氏のこの業績は国際的に高い評価を得ている.

離散凸解析の成果は,最適化分野に留まることなく,機械学習,ゲーム理論,経済学,計算機科学など様々な分野へと波及し,室田氏の一連の論文,著書はバイブル的なものとなって多大な影響を与えている.

このような室田氏の研究と諸活動の実績は日本応用数理学会業績賞を贈るに相応しいものとして高く評価されるべきものである.

 

分類B. 応用を重点とするもの: 該当無し